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エジプト、アフリカ最古の人類の抗争の証拠

Updated: Jun 17, 2021

本書→20-24頁


 本文23頁にあるように、現在のエジプト、スーダンの国境に近いナイル川下流域最古の墓地遺跡ジェベル・サハバ(本書図7)では、更新世後期の少なくとも約13,400年前の人類の抗争の証拠が発見されています。最近『ネーチャー』誌にジェベル・サハバから発見された資料の再検討が行われ、新たな成果が発表されましたので、ご紹介します。


 本文では男女子供59体の遺体が発見されたと記述しましたが、私が依拠した情報は古く、実際には61体の遺体が発見されたようです。遺体には外傷が見られ、石器が突き刺さっている骨も確認されたことから、エジプトとアフリカにおける最古の人類の抗争に関する証拠とされてきました。


 Isabelle Crevecoeur、Daniel Antoineたちの研究チームは、新しい顕微鏡技術を用いて、大英博物館に収蔵されている1960年代に発掘された61体の遺骨の再分析を行って、これまでに記録されていない106の病変と外傷を特定し、これらを飛び道具(矢や槍)による負傷、接近戦による外傷、自然崩壊に関連する痕跡に分類しました。


 発掘された61体のうち41体(67%)には1種類以上の治癒した傷や治癒していない傷があったとのことです。そのうちの92%には、飛び道具や接近戦による外傷が原因であることを示す証拠が見つかり、対人暴力行為があったことが示唆されています。


 また、これらの埋葬は同時に行われたわけではなく、以前に主張されていたような1回の大規模な抗争(あるいは戦争)によるものではないことが明らかとなりました。


 つまり、繰り返し個人間の抗争があったということになります。これはおそらく気候や環境の変化により、資源の獲得のために個人間の抗争が増加した結果によるものと推測されております。詳細は下記をご覧ください。


考古学:先史時代のジェベル・サハバでの暴力行為は一度だけではなかったらしいhttps://www.natureasia.com/ja-jp/research/highlight/13692


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