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ルクソール西岸で発見されたアメンヘテプ3世時代の集落址

Updated: Jun 17, 2021

 

本書→172-173頁


 先日、エジプトのザヒ・ハワース博士を隊長とする調査隊は、ルクソール西岸のメディネト・ハブの北側でアメンヘテプ3世時代の集落址を発見しました。


 本書の173ページの図は早稲田大学の調査隊が作成したアメンヘテプ3世のマルカタ王宮の全体図ですが、新しく発見された集落は、この図の中で葬祭殿近傍集落址と書かれた場所の西側に位置します。この図の葬祭殿近傍集落址とは、アメンヘテプ3世の治世の建築の責任者であった高官、ハプの子アメンヘテプの葬祭殿に隣接した集落址を指しており、この集落址についてはかつてフランスの調査隊が部分的に発掘しました。


 これら2つの集落址に共通するのは、波状壁体です。波状壁体は古くは中王国時代のものが知られており、集落や葬祭施設などを囲んでいる例があります。新しく発見された集落は波状壁体に囲まれ、内部からは様々な工房やパン焼き窯などの施設が発見されました。


 出土遺物にはアメンヘテプ3世の治世に特徴的な青色彩文土器やアメンヘテプ3世のセド祭(王位更新祭)で使用された脂などが記載されたアンフォラ土器も出土しており、マルカタ王宮の北端に造営された同時代の集落と考えられます。今後の発掘調査の成果に期待したいですね。


 なお、早稲田大学調査隊によるマルカタ王宮の調査報告は以下をご覧ください。

早稲田大学古代エジプト建築調査隊渡辺保忠先生古希記念論集刊行会『マルカタ王宮の研究―マルカタ王宮址発掘調査1985-1988』中央公論美術出版、1993年


 ハプの子アメンヘテプについては、こちらをご参照ください。

トビー・ウィルキンソン(内田杉彦訳)『図説 古代エジプト人物列伝』悠書館、2015年


△ニュース・ソース

古代エジプトの「失われた黄金都市」発見 史上最大規模の都市遺構https://www.afpbb.com/articles/-/3341261


古代エジプトの「失われた黄金都市」を発見、3400年前https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/21/041200177/


遺跡の正確な位置と3Dモデル画像はこちら

About the ‘Lost Golden City’…(英語)

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