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古代エジプトの地域区分

Updated: Jun 17, 2021

本書→5〜6頁


ここでは、写真を掲載しながら古代エジプトの地域区分についてより詳しく解説します。


△ デルタ地帯

 地中海に面したデルタ地帯は、南北に約200km、東西に約400kmの面積を持ち、エジプトの居住地域の約63%を占めます。おそらく紀元前4000年頃に現在と同じ面積になったと考えられています。


 土地は平坦で、カイロから地中海までの高低差はわずか12mです。現在ではナイル川の支流はロゼッタとダミエッタの2つですが、古代ではカノポス、ロゼッタ、サイス、セベニトス、メンデス、タニス、ペルシウムの7つの支流が知られていました。また、地中海沿岸部は湿地帯で、多くの湖沼が点在していました。


 デルタ地帯の遺跡はテルあるいはコームと呼ばれる小高い丘にあり、それらはアラビア語でゲジラ(亀の甲羅)と呼ばれる沖積土の堆積からなる丘陵地で、集落が形成された場所です。ナイル川の増水季にはデルタ地帯に広がるこれらの小高い丘は大海に点在する島々のような景観に見えたことでしょう。


 その様子はGoogle Earthの衛星画像からも推測できます。デルタ地帯の緑地の中に小さなドットが無数に見えますが、これらは集落のある高台であり、ナイル川の増水時にはこれらが島のように点在していたのです。

デルタ地帯の衛星画像 ©︎Google Earth


タニスの遺跡(サン・アル=ハガル)©︎ Nozomu Kawai


△上エジプト(ナイル河谷)

 上エジプト、すなわちエジプト南部のナイル河谷地帯は砂漠の間に位置する広大な渓谷です。厚い沖積土(シルト)が堆積し、これの自然の肥料が豊かな農業生産をもたらしました。ナイル川はアスワンで海抜71m、カイロ付近で83mで、比高差はたったの12mです。


 実際にナイル川を見るとあまり流れているようには見えず、細長い巨大な湖を見ているようです。アスワンから上流にはカタラクト(瀑布)があります。カタラクトは岩が多く、流れが早いので、船による航行は困難です。アスワンからルクソールまでの平均的な川幅は2.8kmで、エドフでは7.5kmあります。ただし狭い場所では350mです。


ベニ・ハッサン付近を流れるナイル川 ©︎ Nozomu Kawai


ルクソール西岸の田園風景 ©︎ Nozomu Kawai


アスワンの南に位置する第1カタラクト(瀑布)©︎ Nozomu Kawai


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